一般的な健康情報で頻繁に耳にする
骨盤が歪んでいる。
という表現ですが、
解剖学、運動学的にみると誤解を招きやすい言葉です。
(今回は産後の骨盤以外でまとめてます。)
骨盤は腸骨・坐骨・恥骨、仙骨などから構成。
強靭な靭帯(仙結節靭帯・仙棘靭帯・後仙腸靭帯など)によって強固に連結されています!
そのため、骨盤自体が構造的に歪むことは
ほぼ不可能です。
実際、人体解剖や病院勤務時に
多数の骨盤レントゲンを確認してきましたが、
病的変化(骨折や腫瘍など)を除いて
骨盤そのものが崩れて歪んでいる症例は一例も認められませんでした。
唯一の可動部位は仙腸関節
骨盤における唯一の可動性は 仙腸関節 。
仙骨と腸骨の間に位置するこの関節は、
安定性を重視した構造であり、
可動域は極めて小さいことが知られています。
可動範囲:1〜3mmの滑走、1〜4°の回旋
このわずかな動きは脊柱から下肢への
荷重伝達や衝撃吸収に重要な役割を果たしています。
しかし、一般的に想像されるような大きなズレや
歪みではない。
骨盤の歪みと呼ばれる正体は?
実際に、骨盤が歪んでいると表現されるのは、
骨盤自体の変形ではなく、
以下の要因による骨盤アライメントの変化です。
筋・筋膜のアンバランス
(例:大腰筋・ハムストリングス・殿筋群の左右差)
姿勢習慣
(片脚立位、足組み、片側への荷重偏位)
下肢長差や股関節可動域制限
腰椎や脊柱の変形
これらが複合することで、
骨盤が前傾・後傾・側方傾斜・回旋
しているように見える状態が
歪みとして捉えられています。
骨盤アライメントの変化は以下の問題につながる可能性があります。
腰痛や骨盤周囲痛
股関節や膝関節への過負荷
体幹安定性の低下
まとめ
骨盤が歪んでいるという表現は、
骨盤骨の構造的変形を意味するものではなく、
筋・関節機能のアンバランスに伴う
アライメント変化。
西洋、東洋医学でいろんな考え方はありますが、
一つの参考として拝見してください(顔文字)

